2017年7月25日
巡回展(防府会場)で講演会とギャラリートークを行いました
当センターでは、市・町教育委員会などの協力を得て、新たに発掘調査で出土した資料について県内の各要施設を巡回、展示しています。今年度は、5会場で展示する計画で、現在は、防府市文化財郷土資料館(防府市桑山二丁目1ー1所在)で開催中です。期間は、8月31日(木)まで。これにあわせて、7月22日(土)にセンター職員を講師とする講演会ならびに展示解説(ギャラリートーク)を行いました。
講演会は、「ピラ掛け製品を見つめて-発掘資料が伝える萩焼の実像-」とのタイトルで、郷土山口を代表するやきもの萩焼に関して、発掘調査や史料調査の成果をまじえて、先ずその歴史全般を紹介しました。
萩焼といえば、楽焼や唐津焼などとともに近世国焼の雄としての印象を強く抱きますが、とくに江戸時代の中頃から後半にかけては、高雅な作風というより寧ろ実生活に近い茶の湯をたのしむ器としての椀や皿、鉢などに広く関心がそそがれ行く感がいなめないことに触れました。
そこで看過できない存在として浮かび上がる京焼、さらに萩と京の両者のはざまにおける窯業関係者など人々のうごめきのなかで、全く新しい「ピラ掛け」と称されるデザインの創出に辿り着くまでを追ってみました。
展示解説では、秋根土塁(下関市)→殿久遺跡(美祢市)→堂道遺跡(山口市)→下津令遺跡(防府市)と順追って丁寧に、わかりやすく説明させていただきました。参加された皆さま方の終始熱心な態度や真剣な質疑のやりとりが、とても印象深く心に残る一日でした。