2008年9月 3日
「雪舟作庭園伝承」の謎にせまる ~常徳寺庭園遺跡展から~
当センターでは、「常徳寺庭園遺跡展」を開催中です(9月30日まで)。常徳寺庭園(山口県阿東町)や常栄寺庭園(山口市)など、雪舟が作ったとされるいくつかの庭園を紹介しており、見学者の関心も高いようです。これらの庭園は、いずれ劣らぬ名園ばかりですが、雪舟作庭を裏付ける資料は、確認されておらず、伝承があるにすぎません。
常徳寺庭園は、江戸時代に萩藩が編纂した地誌『防長風土注進案』に“雪舟の築庭、常徳寺境内にあり”とあり、発掘調査(平成8~10年度実施)では、室町時代に作られた庭園であることなどがわかりました。しかし、作庭者に結びつく手がかりは、残念ながら見つからず、これからの課題となっています。興味深いのは、同じ注進案に“この庭の書画が当寺(常徳寺庭園)に伝来していたが、故ありて萩の山田何某様へ譲与した”との記載があることです。おそらく立派な書画であったことが想像でき、当時の常徳寺庭園のようすをうかがう上できわめて貴重なものであり、その発見が切望されています。