2009年6月23日
当センターが実施する発掘調査の成果については、翌年度に施設内で展示・公開していますが、平成21年度からは、さらにこれを県内数か所の会場(市町教育委員会など)で巡回展示することになりました。これにより、多くの県民にホットな発掘情報を身近でご覧いただき、埋蔵文化財に対する理解を深めていただけるものと期待しています。
今年度第1回目の巡回展示は、ながと歴史民俗資料室(長門市東深川)を会場とし、6月28日(日)まで開催されます。長門市では、この機会にセンター職員を講師に招いて講演会ならびに展示品の説明会(ギャラリートーク)を企画し、6月23日(火)に実施のはこびとなりました。
講演会では、先ずセンターの業務とともに巡回展示のねらいを説き、また、市内に所在する主な遺跡について紹介しました。続く展示品の説明会では、個々の内容(時期や種別など)をできる限り懇切に、わかりやすく伝えながら、一方で随時質疑を受け、応答しました。参加者(出席者)は、ふだんの生活のなかで余り目にすることのない土器や石器など遺物の一つひとつを熱心に見学される姿が、とても印象的でした。
来年度も、ぜひ長門市で巡回展示を開催して欲しいとの声を聞き、少し嬉しい思いに浸りつつ、当日の講師の大役を終えることができました。
2009年6月16日
6月16日(火)、周南総合支援学校に出前授業に行ってきました。科目は、2~3校時が美術(土器作り)、4校時が社会(歴史の学習)です。
美術は、まず土器(縄文土器・弥生土器など)の種類や形のちがいを説明。参加者(児童・生徒)は、はじめて実物に触ったためか、とても喜び、続く土器作りでは、学校で準備された粘土を練って紐状にのばし、上手に輪積みをしていました。早々と土器を作りあげると、勾玉や土笛(陶けん)、分銅形土製品にも果敢にチャレンジし、その生き生きとした様子は、とても印象的でした。
社会は、周南地方で発掘調査された遺跡を中心に映像で紹介し、当時の人びとの生活を説明するとともに、歴史を学習することの意義や目的について、全員で考えてみました。また、授業の途中では、土器や石器、玉類(勾玉・管玉)を実際に手に取り、その感触を確かめながら、はるか遠い時代に思いを馳せていたようです。
今回の出前授業を通して、実物を教材とすることの効果の大きさに、あらためて気付かされました。県埋蔵文化財センターでは、こうした教材の貸し出しなどの活用に、積極的に協力して行きたいと考えています。(西岡)
2009年6月12日
6月10日(水)~12日(金)、県立大津高校の生徒(2学年/1名)を受け入れて、職場体験学習を実施しました。
初日は、埋蔵文化財センターの業務について説明した後、早速、発掘調査で出土した土器片を洗浄し接合。2日目は、石膏を使用して土器を復元し、文様の拓本や実測図のトレースにもチャレンジしました。最終日は、防府市台道地区で実施中の上り熊遺跡(あがりくまいせき)発掘調査に参加し、現場作業の辛さとともに、土器が出土した時の喜びを感じていました。
生徒は、最初、慣れない職場環境で多少緊張していたようすでしたが、しだいにその雰囲気にとけ込み、意欲も増してきて、どうすれば効率良く業務(作業)をこなすことができるかなど、苦労しながらも色々と考え、工夫をしていたようです。
今回の職場体験学習は、3日間と短期間であったため、職場のほかの人と協調し、共同で業務を行うことの大切さや困難さのすべて学ぶまでには至らなかったかも知れません。しかし、生徒本人にとって、将来の就労に向けての基本的な考え方を持つ上で、意義深いものになったのであれば、大変うれしく思います。