2008年7月21日
同じ個体の破片を集めたら、接合可能な破片を並べてみることで、ある程度土器の形をイメージすることができます。これによって見つかっていない破片の形を思い描き、その破片を探し出すことになります。
写真のように並べた破片を接合していきます。このとき、土器が脆い状態であるなら、保強剤を使います。表面をコーティングしたり、内部まで含浸させることで、土器片を強化するものです。これをしないと、高さのある土器の場合、接合して組み上げていく途中で、強度が十分でないことから崩れてしまうことがあるからです。また接合面がはがれやすくなると、何度も繰り返すうちに接合しにくくなってきます。接合前のひと手間ですが、これがともて大切な工程です。
ところで、たくさんの破片からなる土器は、その多さに困惑してしまいます。このときは小さな破片をまず接合し、大きなパーツをいくつもつくることで、土器の形やそれに適した組み立て方の順序を考えいくことが、接合のポイントです。
2008年7月18日
西側斜面から出土した近世陶磁器の特徴としては、染付磁器より萩焼陶器やほうろくなどの土器の出土数が多いことです。さらに土器では三見産とみられるほうろくの破片が多く出土しています。これらは茶屋跡で使用されたものばかりでなく、隣接する「ほうろく窯跡」から廃棄されたものもあるかもしれません。またほうろく以外にも七輪などの土製容器片も出土数が多いことから、窯跡ではほうろく以外の製品も焼成していたことも考えられます。このことは今後の窯跡調査によって明らかになるでしょう。
陶磁器以外では、今までのところ火打ち石、寛永通宝、鉄製品、銅製品、土人形などが出土しています。これらの遺物は、染付磁器からみて18世紀後半から幕末のものと考えられ、茶屋跡が営まれた時期を考えるヒントとなります。
2008年7月11日
ほうろく茶屋跡がある丘陵の西側斜面の調査です。この急斜面にトレンチを設定し掘り下げたところ、多くの近世陶磁器が出土しました。これらは堆積状況から判断して、斜面上位の茶屋跡から廃棄されたものや、斜面の崩落などにより流れ落ちたものであるとみられます。斜面の広範囲に遺物が分布するとみられるので、トレンチの範囲を広げて面的に掘り下げました(写真)。斜面の裾からはトレンチの所見のとおり、多量の近世陶磁器が掘り出されました。
2008年7月 7日
三見小学校の5.6年児童が「三見ほうろく窯跡・ほうろく茶屋跡」の調査現場に発掘体験に来てくれました。赤間関街道を歩いて発掘現場に到着し、ほうろく窯跡、ほうろく茶屋跡の遺跡の説明を聞いた後、2班に分かれて、発掘調査を体験をしたり、出土した遺物から江戸時代の生活を勉強してもらいました。発掘体験では、作業員さんのアドバイスを聞きながら自分の手で江戸時代の陶磁器をたくさん掘り当てることができ、とても喜んでいました。遺物の説明では、実際に現場で発掘された物を紹介しました。ほうろく、銭、火打ち石、硯、キセルなど江戸時代に使われていた物ばかりです。江戸時代に三見にいた人の生活を少しは感じることができたのではないでしょうか? 最後になりましたが、発掘現場にわざわざ足を運んでくださり、ありがとうございました。興味が持てた人は、また来てくださいね。
2008年7月 3日
山口市立八坂小学校5、6年生の24名が施設見学で当センターを訪れてくれました。まずは展示室を見学。展示遺物をみながら熱心にメモを取っていたのが印象的でした。その後は土器の復元作業を体験しました。今回の施設見学で学んだことをきっかけに、歴史に興味を持ってくれたらと考えます。